新年の挨拶にはやや遅くなりましたが、ことしもよろしくお願いいたします。ことしも、HPV薬害訴訟、ハンセン病家族訴訟、患者の権利法と課題は目白押しではありますが、書けることを、書けるときに、というごく緩い方針で更新に努めたいと思っております。
さて、医療事故紛争解決事例として、5回にわたって薬剤の副作用に関連する事故を紹介してきました。今回の事故も、薬剤に関する事故ですが、これは一般の副作用事例に含めるのが躊躇われるほどのひどい事件です。
Aさんは37歳の女性、Bクリニックで大腿部脂肪吸引術及びバスト自家脂肪吸入術を受けました。
午前11時25分に手術開始、術中に痙攣が出現し、抗てんかん薬が投与されています。意識レベルや体温の推移は記録されていませんが、手術終了後の体温は、なんと41度。これに対してボルタレン座薬の挿肛、アイスノンでのクーリングが行われました。記録にある酸素飽和度は一貫して90%以上ですが、18時55分には気管内挿管がなされているところをみると、呼吸不全の状態になったものと思われます。
翌朝になって近くの総合病院に搬入され、意識を取り戻すことなく約1ヶ月後に亡くなりました。直接的な死因は低酸素脳症とされています。
いったい何が起こったのか。
局所麻酔薬を皮下に注入し、皮膚の切開部分からカニューレを挿入して脂肪を吸引するというのが基本的な脂肪吸引術の
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