債権法改正について(30)(第三者による弁済)
司法書士の岡川です。「弁済」というのは、債務の履行と同義であり、これを特に債権の消滅原因としてみたときに用いられる概念です。借りた金を返す、売買代金を支払う、というのが、債務の履行であり弁済です。第473条 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。これは、当たり前すぎて現行民法にはない(改正法で新設された)条文なのですけど、まあ、そういうことです。債務の弁済は、債権者に対してしなければならないというのは、これもまた当然のことです。他方で、債務者以外の第三者が債務の弁済をすることは、基本的には悪いことじゃないので、これも弁済として有効とされています(474条本文)。ただし、第三者による弁済には一応ルールがありまして、特に、利害関係のない第三者が弁済することには制限があります。改正法では、この点の規律が少し調整されています。「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者」は、債務者の意思に反して弁済することができません(474条2項)。この趣旨は、他人に弁済してもらうことを良しとしない債務者の意思の尊重とか、求償権を取得した第三者からの過酷な取り立てから債務者を保護するためとかいわれていますが、疑問も多い条文です。なお、現行法は「利害関係を有しない第三者」となっているので、微妙に表現がかわっていますが、これは、現行民法500条(法定代位)と表現を合わせ
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