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蓋し

弁護士
 法曹業界以外では余り使わない言葉は色々ありますが,その中に,「蓋し」というものがあります。 読みは,「けだし」。 どういうふうに使うかというと,「蓋し・・・だからである」というような形で,「なぜなら」の意味で使われます。 で,これはあくまで感覚的な印象ですが,「蓋し」が「なぜなら」の意味であることになんらの疑問も持っていない弁護士は意外と多そうな気もします。 しかし,実は,「蓋し」には本来「なぜなら」という意味はありません。 「けだ」というのは,元々,きちんと四角であるという意味で,これが副詞化したのが「けだし」であり,本来,「まさしく」とか「きっと」の意味です。 源氏物語の「風の力けだし少なし,とうち誦し給ひて」というのはこの意味です。 そして,推量の語を伴ったときに,「おそらく」,「たぶん」という意味でも使われるようになりました。 また,「もしや」という意味で使われることもあります。 しかし,あくまで元々のきちんと四角であるという意味から,さすがに「なぜなら」という意味は出てきません。 それがなぜ「なぜなら」という意味で使われているかというと,明治時代に大審院判決で誤用されたことにより,長年判決で「なぜなら」と使われてきたようで,弁護士もそれに倣ってこの使い方をしているということのようです。 ただ,最近は判決でも使われなくなっているようで,判例検索をしても,近時のものでは,引

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