ひととせに ふたたびも来ぬ 春なれば いとなく今日は 花をこそみれ (平兼盛)
春だというのに、新型コロナウイルスのお蔭で、鬱々とした日々が続きますね。
この問題に関しては、マスメディアでもネットでも、ほんとうに多種多様な情報が飛び交っています。感染力はどのくらいなのか、致死率はどのくらいなのか、マスクに予防効果はあるのか、学校は再開すべきか、PCR検査の対象は広げるべきか、効果的な薬はあるのか、自粛による経済の打撃はいかほどか……なるほどと膝を打つものから、眉に唾をつけたくなるものまで。
わたしには、お互いに矛盾するように思える医学的意見のどちらが正しいかを判断する知識はありませんし、この事態においてどのような経済施策をとるべきかについてコメントする立場にもありません。
しかし、政府による強力な私権制限を求めるような論調が強まっているのは気になります。HIV問題やハンセン病問題に関わってきたわたしには、病気より怖ろしいのは、病気を過度に怖れる人間の心だという感覚が根深くあります。その怖れが権力を動かすこと、あるいは権力がその怖れに便乗することを、わたしは深く怖れます。
このウイルスと社会との関係は、そう短期間に折り合いがつくものでなさそうです。さまざまな意見はありますが、その点については、おそらくコンセンサスが成立しているのではないでしょうか。であればなおさら、
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