既に、この件に関しては多数のご相談を受けていますが、債券の内容も含めて、その対処方法も難しい問題点も含んでいますので、改めて、現状を説明しておきたいと思います。
まず、今回のAT1債の損害の原因を理解しておく必要があります。なぜいきなり大きな損失となったのか?という原因ですが、ごく簡単に説明すれば、AT1債の本質的な(金融機関が発行する目的そのものに関係する)発行条件として、特別な公的支援(extraordinary government support)を受けたときは、その支援が株主の利益を保護するものであっても、他銀行からの救済買収を容易にするために、AT1債の債権者が犠牲となる、つまり、AT1債の元本が削減(writedown)される条項があったということです。今回、クレディスイスの危機が顕在化し、同銀を救済するために、スイス政府が救済に動いたことが、この条項による破綻トリガーを弾いたようです。その結果、AT1債は、債権にもかかわらず、株価がゼロになる前に、債権価値がゼロになってしまうという、通常の金融商品の知識では考えられない結果となってしまいました。
報道では、日本でも額面で1000億円以上、そして個人投資家にまで、販売されていたようです。販売した金融機関は、果たして、上記に記載した元本削減リスクを説明して販売し、投資家はそれを十分に理解して購入したのでしょう
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