調停委員のこと
裁判所で行われる調停には民事調停と呼ばれるものと家事調停と呼ばれるものがあります。民事調停は簡易裁判所や地方裁判所で行われるもので、家事調停は家庭裁判所で行われます。民事調停は金の貸し借り、物品売買、交通事故などを扱います。家事調停は、離婚、相続など家庭内の問題を扱います。民事調停は、概ね経済的な有利不利、平たくいえば打算によって解決方向が決まることが多いのですが、家事調停には人間関係が大きく絡んだ問題が持ち込まれますので、感情面の対立が大きいため、単なる打算だけでは片付けられない難しい対応が必要となります。私は簡裁の調停委員はかなり長く務めさせて頂きましたが、家事調停においては調停委員ではなく調停の申立人あるいは相手方の代理人として関与してきました。調停委員というのは訴訟における裁判官とは異なり、いわば当事者間の合意の取り成し役ですので、とにかく当事者いずれからも嫌われたらだめですね。当然のことですが、一方当事者の肩を持つような発言は厳に慎まなければなりません。一方当事者が無茶なことを言っていると思ってもたしなめるような言い方ではなく、法的にその言い分が通りにくいということをやんわりと説明して納得を得る努力が必要でしょう。「そんなこといっても通らないことは判るでしょう」とでも言いたいようなうんざりした顔をする調停委員さんにたまに出会うこともありますが、そのような態度で切り捨てては
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