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医療事故紛争解決事例16〜腸閉塞に対する手術が遅れ短腸症候群となってしまった事例

弁護士
 前回に続いて腸閉塞の事例です。
 Aさん(60代の男性)が耐えがたい腹痛を訴えはじめたのは前日の午後11時頃、急患センターを受診したのが翌日午前2時頃です。ここで術後イレウス(急性腹症)との診断でペンタジンAの注射を受けていったん帰宅しました。
 帰宅後、再び腹痛が増強してきたAさんは、午前9時頃、救急車を呼び、B病院に搬入されました。
 午前10時30分に撮影された腹部単純X線写真では、腸閉塞に特徴的な鏡面像が見られています。
 ここで、「造影検査問診票」が作成されていますが、「立・臥位での腹単X−Pは可能であるにもかかわらず、本人の協力なくCT施行できず。後日施行とする」とあります。つまり、いったんは造影CTが予定されたものの、Aさんがこれを同意しなかったため施行されなかった、というのが病院側の記録です。これに対して、Aさんは、造影CTについてなんらかのやりとりがあったことをまったく記憶していません。
 Aさんは、単純性イレウスと診断され、外来で胃管挿入、ブスポン、ソセゴン、アタラックスPといった薬剤投与を受け、午前11時10分頃、入院となりました。
 その後の経過については、診療録の記載内容と、スタッフとの証言が一致しない部分も多く、あまりはっきりしませんので、ここでは省略します。
 結論的にいえば、日付の変わった夜中の午前1時頃、Aさんは収縮期血圧約60㎜Hg、脈拍

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弁護士
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