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医療事故紛争解決事例12〜小児の虫垂炎を見逃して死亡に至ったケース

弁護士
 今回からしばらく、腹痛にまつわる医療事故の報告を続けたいと思います。
 腹痛は、臨床医が外来で遭遇する最も多い症状のひとつだと言われています。実際、生まれてこのかた腹痛を経験したことのないという人は、あまりいないと思われますし、腹痛で医療機関を受診し、治療を受けた経験がある人もかなりの割合にのぼるのではないでしょうか。
 かくいうわたしも、その経験があります(わたしの虫垂炎〜ブルンベルグ徴候の思い出)。
 今回は、その虫垂炎のケース。
 3歳のA君が、腹痛で近所のB小児科を受診したのは12月10日のことでした。翌11日も腹痛の治らないA君に、B小児科の先生は虫垂炎を疑い、その地域唯一の総合病院であるC病院の外科に紹介しました。
 しかし、C病院外科のD医師は、腸管膜リンパ節炎や急性腸炎といった診断名で、解熱剤、抗生剤等による保存的治療を続けました。
 15日、A君は同じC病院の小児科を受診しました。小児科のE医師は、A君の腹部を触診して筋性防御(ディファンス)、反跳疼痛(ブルンベルグ徴候)といった腹部理学的所見を認め、虫垂炎及び合併症との診断で、A君を外科に送り返しました。しかし、D医師はそれでも自分の診断を変えず、A君を帰宅させました。
 16日の早朝、A君の容態は激変、七転八倒して腹痛を訴え、激しい下痢、嘔吐を繰り返しました。タクシーで駆けつけたC病院で撮影されたレントゲン

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弁護士
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