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債権法改正について(34)(有価証券)

司法書士の岡川です。今日は有価証券の話。そもそも「有価証券」とは何か、というと、細かいところで争いはあるのですが、概ね「財産権を表章する証券で、権利の移転及び行使が証券によってなされるもの」というのが一般的な定義です。手形、小切手、株券とかが典型例です。金融商品取引法では、その一部のみが有価証券として定義されていますが、本来はもっと広い概念です(例えば、小切手は典型的な有価証券ですが、金融商品取引法の定義規定には含まれていない)。この有価証券というものは、多くは商取引において用いられるものであり、民法というより商法分野の話(有価証券法の典型である手形・小切手法は、かつて商法典の中にあった)なのですが、実は、似たような規定が現行民法にもあるんですよね。例えば、現行469条の「指図債権の譲渡は、その証書に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」という規定なんかは、いかにもそれっぽい。指図債権のほかにも、現行民法には、証書(証券)の存在を前提とした債権として、記名式所持人払債権と無記名債権に関する規定があり、これらの債権を講学上「証券的債権」といいます。主に債権譲渡に関する規律として、民法に定められています。他方で、商法典にも、ところどころ「有価証券」という文言は出てくるものの、有価証券に関する一般的な(通則的な)規定というのは存在しません

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