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パクリとインスパイアの境界線

パクリ騒動で、すっかりミソのついた五輪エンブレム問題。商標法だけの観点でみると、マーク自体に類似する先願は存在しなかったことが判っている。それではなぜ、取り下げるに至ったのか──。

それは、著作権に 抵触する可能性が大きかったため。当初、使用差止を求めたベルギーの劇場(後に取下)やデザイナーが主張しているのは、創造的に表現した自らの著作物に、依拠または盗用して いる疑いがあるからだ。デザイナーS氏 が、洋酒メーカーのエコバッグ・デザインにパクリであったことを認めたことで、いっそう倫理的・感情的な問題として膨張していった。事実関係はといえば、いまも闇のなか。本人が沈黙している限り、白日の下にさらされることはない。

ヴィトンの楽器が誕生か?

ところで、第67回正倉院展(2015年10月24日〜11月9日・奈良国立博物館)で、1300年前の「紫檀木画槽琵琶」をメインビジュ アルにしたポスターが公開されるや、ちょっとした論議が巻き起こった。というのも、ペルシャに起源をもつという四弦琵琶の背面デザインが、ぱっと見たところ、ルイ・ヴィトン社の代表的な図柄「モノグラム」にそっくりだから。紫檀の濃い茶色に、象牙や緑に染めた鹿の角などを組み合わせた小花模様がナナメに規則正しく並び、遠目には、ヴィトンが琵琶をつくりはじめたかのようさえに見えてしまう。

偽造品対策として誕生したモ

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